その名は杏奈

びわがスーパーの店頭に並び始めると

もうすぐだなぁと毎年思います。

癌で闘病していた父は

もう末期で

食べ物も殆ど口に入れる事が出来なくなっていて

冷麦を麺つゆにつけて

麺を一本だけとか

オレンジジュースを一口とか

そんな状態だったのですが

ある日

母が庭でなったびわを病室に持っていったら

それを欲しがって

本当にほんの少し食べて

「美味しいなぁ」と

干からびた声で言いました。

今日は父の命日です。

 

あれから世の中は色んな事が起きて、そして変わった。

災害やテロやアベノミクスやトランプや…

父が生きていたら何という感想や意見を言っただろうと

聞いてみたかったなぁと思う時が何度かありました。

もう聞けないのが寂しい。

今朝方みた夢に

父が出てきて

母と私に

「お父さんいないと寂しいか？」

と聞きました。

お母さんと私は口をそろえて

「そりゃあ寂しいよ」

と言う夢でした。

父の遺影にリンドウの花を飾り

淡麗グリーンラベルを飲んでます。

ちあきなおみさんの

「冬隣」さながらです。