その名は杏奈

お世話になった

池袋のママが亡くなったと

報せが

2年くらい前から体調を崩して

闘病していたママ

みるみる痩せて

でも、いつも綺麗にしていて

お店も休まない

少しずつ整理をしているからと

私にも素敵なコートを2枚下さった。

これ、形見になるんじゃないかな…

そんな不安もあったけど、本当になってしまった。

お見舞いに言った時も、綺麗にメイクして、私を待っていてくれた。

言葉もハッキリしていて

冗談も言ってくれて

和ませてくれた。

私が、「婚活は失敗しましたけどね」と自虐すると

「私みたいないい女でも駄目だったんだから、当り前よ」

と笑わせて

そして、

「でも、杏奈ちゃん、一人は悪い事じゃないわ。悪い人生ではないわよ、決して」

と、声を少し詰まらせながら言ってくれた。

きっと、私に言いながら自分にも言っていたんだと思う。

それを考えると涙が出る。

感謝と哀しさで。

父を看取ったので、ママの状態はなんとなく想像できた。

もう会えない。

けれど、さよならと手を振る事は出来ない。

まだ生きている。

しっかりとした佇まいをしている。

そのママに何も言えなかった。

デクノボウ。

それが私だ。

私はママに甘えてばかりで

ママを甘えさせてあげるような器量がなかった。

とても不甲斐ない。

「また来るね」

そう言って病室を去る私は偽善者じゃないかと、自分が情けなかった。

最期かもしれないから、ママに手を差し出して両手で握手した。

小さな手…

 

私はママに随分アドバイスを貰った。

発信する事

いい女でいる事

突っ張る事もあったけれど

多分、ママが言ってくれた事は100%実行している。

ママの影響で始めた事もいっぱいある。

お別れの時には、ママにそれらをこれからも実行していくと誓ってこようと思う。

ママがくれた沢山の愛情。

きっと、お別れには沢山の人が集まると思う。

キチンとさよならと言ってきます。

合掌