杏's jam

杏奈は大好きな歌と、大好きな人達に支えられて毎日を過ごしています♪

■ 回想～ノア～

初めて出逢ったのは
今から約14年前の大晦日

私は退職金と妹は社会人として初めて貰ったボーナスの一部を抱えて

年末でも開いているペットショップを探し回った

まだまだ仕事に力を注ぎたくて
両親には当分
孫の顔は拝ませてあげられないからと
二人からプレゼントする犬だ

なかなかお店は開いていなくて
気があせるその時

「シーズーの子犬生まれました」

の貼紙

シーズーは以前飼っていて
性格が穏やかで好きだ
けれどまた同じ犬種だと
前の子と比べられて可哀相かなという思いもあり

どうしようかと迷ったが…

見てみようという気になった

何匹いただろう

とにかく沢山
キャンキャンキャンキャン元気な子が出てきて

この中から選ぶのは酷だなと感じた

だって
みんなかわいいし同じ生命だからなぁ

けれど

目を引く子がいた
ものすごい表現力で
「わたしを連れていって～！！！」
と愛らしく活発にアピールする子
「縁」という言葉が浮かぶ

「お姉ちゃんどうする？」
と妹に聞かれた次の瞬間に
「この子にする」
と即決した

手の平に乗る程小さい彼女は

今までいた世界から出てまるで安心したように
実家へ向かう車中ずっと
私の膝の上で
静かに眠っていた

両親に紹介すると
「ぶすだね～」
と洗礼を受け

私と妹は
「失礼な！」
優しそうで癒し系なのに！！
とプンプン

それでも
嬉しそうな両親を見て
私も妹も嬉しかった

「ノア」と名付けられた彼女が
名誉挽回するのに時間はかからなかった

目を見張る利口さ
穏やかな奥ゆかしい性格

あんなに意志疎通が出来た子は
歴代の子達の中でも他にいなかったかもしれない

孫の代わりにとプレゼントしたつもりが
孫以上の存在だったかもしれない

父は生前、獣医だったくせに
ノアを甘やかすだけ甘やかし

たまに実家に帰る私は
その有様にほとほと呆れ返った

けれどノアは
わがままになることはなく

いつも健気に
公平に
家族に接してくれた

父が入院して寂しかったのか

しばらく人間不信になった時間もあったが

闘病し亡きがらになって実家に帰って来た父の傍に
葬儀場に運ばれるまで
ずっと離れないでいるノアはいじらしくて
涙が出た

父が居なくなり
一人になった母を
精神的に支え

小さな姪っ子二人の成長に一役も二役もかってくれた

14歳3ヶ月

「私の役目はおしまい」

病床を汚しもせず
自力でトイレもして
病院にかかる事もしないで
苦しむ姿も見せず

静かに逝った

本当はもっと早く
大好きだった父の処へ行きたかったのかもしれない

かわいい死顔

母も私も妹家族も
みんなで
いい子いい子してあげた

我が家では
人も動物も
良いことをしたら
頭を撫でてあげるから

いつもみたいに
撫でて
お別れした

忘れないよ
ありがとう

私達と一緒に過ごしてくれて

ありがとね

大林ノア様へ

※写真は連れて来て間もないノア。父のパーカーにすっぽり入ってしまうくらい小さかったです。

日時 2012年03月12日 20:09

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